ペット不可物件で飼育がバレたら即刻退去しなければならない?

更新日: 2024年1月29日

ペット不可物件で飼育がバレたら即刻退去しなければならない?

この記事で解決すること
  • ペット不可物件での飼育発覚は、信頼損なえば退去もあり得る。
  • 飼育がバレた際の違約金は契約内容に依存する。
  • 敷金の扱いはペットによる部屋の損傷と交渉次第。
  • 原状回復の費用は貸主との話し合いで分割支払いが決まる。

コロナ禍の巣ごもり需要などにより、自宅でペットを飼う人が増えました。持ち家だけでなく賃貸物件で飼っている人も増えているようですが、トラブルになりがちなのが「ペット不可物件での飼育」です。

この記事では、ペット不可の賃貸で飼育が隣人や大家にバレてしまった場合に、物件から引越ししなければならないのかどうかについて、法律の観点から解説していきます。

監修者:弁護士 大橋賢也 / 川崎エスト法律事務所

中央大学法学部法律学科卒、平成18年10月に弁護士登録。平成25年12月「一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して」川崎エスト法律事務所を開設。債務整理、成年後見、離婚、相続、交通事故、刑事事件などを担う。消費者事件には特に注力しており、現在、「神奈川県弁護士会消費者問題対策委員会」にて副委員長も務める。

Q1. ペット不可物件でペットを飼い退去を求められたら応じなければならないのでしょうか?

ペットの飼育が認められないと入居時に貸主と取り交わした「賃貸借契約」で定められているのであれば、居住者が契約違反をしたことになります。ただし、退去を余儀なくされるかどうかの焦点になるのは、貸主との「信頼関係が破壊されたか否か」です。

賃貸借契約は、当事者間の信頼関係を基礎とするものであり、かつ入居者の生活基盤に深く関わる契約です。そのため貸主は、借主に契約違反があれば直ちに契約を解除し「出て行け」と追い出せるわけではなく、借主の契約違反によって「当事者間の信頼関係が破壊された」と認められる場合にのみ、借主を追い出すことが可能となります。

よって、借主がただちにペットの飼育を解消するのであれば、オーナーへの謝罪や双方の話し合いによって事を収められる可能性は十分にあると考えられます。ただし、後述するように、ペットによって壁や床、住宅設備などが傷ついてしまったり汚れてしまったりしている場合は、復旧に対する賠償は基本的に避けられないでしょうし、「貸主との信頼関係を破壊した」と言える程度に至っていれば、賃貸借契約を解除され、退去に応じなければならない可能性も出てきます。

Q2. ペット不可物件で飼育がバレて「違約金を払え」と言われたら応じなければならないのでしょうか?

ペットを飼っていることが貸主にバレてしまい、契約違反に対する違約金を請求された場合は、まずは入居時に取り交わした賃貸借契約の内容が重要になります。賃貸借契約書に「ペットの飼育不可」と記載があっても、「ペットを飼っていることが判明したら違約金が発生する」と書かれていない場合は、違約金を支払う必要はないでしょう。

逆に、しっかりと違約金に関する定めが記されている場合は、契約上、請求に応じなければならなくなります。また、賃貸借契約書に記載がない場合でも、ペットによって室内が汚されたり傷つけられたりした場合は、貸主から原状回復義務の履行を求められたり、原状回復費用を請求されるリスクがあります。

Q3. ペットよって部屋に傷や匂いが付いていなくても「敷金を差し引く」と言われたら応じるしかありませんか?

「敷金」は賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭です。通常は、入居時に貸主へ納め未払賃料が発生していなければ、退去時に部屋の修繕に使用された金額(ただし、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)を差し引いて、借主へ返金されます。

ペット不可物件での飼育がバレてしまったことで「予定よりも敷金を多く差し引く」と言われた際に応じるか否かですが、そもそも原状回復工事の費用は、貸主の「言い値」に近しい決まり方をします。そのため、ペット飼育に関わらず、敷金の返還がまったく無かったり、追加の修繕費用を請求されたりといったトラブルは少なくありません。

焦点になるのは、「その工事費用が妥当な金額なのか」という点です。借主はペットによって部屋の汚れや傷が発生していないと感じていても、貸主の視点からすれば看過できない点があるかもしれません。逆に、ペットの飼育が発覚したことに付け込んで、貸主が費用を吹っかけている可能性もあります。

そのため、敷金の返還される金額に納得できない、もしくは過剰な請求をされていると感じた場合には、第三者として内装工事の会社などに復旧に必要な見積もりを算出してもらった上で、妥当な金額に着地するよう貸主と話し合いをすることが大切です。

Q4. 賃貸契約解消後にペット飼育が発覚し違約金を請求されたら応じなければなりませんか?

退去の際は何も指摘されなかったのに、賃貸契約解除の後で「ペットによる傷が見つかった」等の理由で賠償を求められた場合は、賃貸借契約の内容にどのような記載があるのかが焦点となります。

Q2と同様、賃貸借契約に違約金条項が存在しなければ、違約金を支払う必要はありません。これに対し、違約金条項が存在する場合は、貸主の違約金請求権の消滅時効が完成しない限り違約金の支払に応じる必要があります。

具体的には、貸主が権利を行使することができることを知ったときから5年間、もしくは権利を行使することができる時から10年間は違約金の支払に応じる必要があります。

Q5.ペットを飼ったことで高額な原状回復費用を請求されたら分割払いは可能ですか?

ペットを室内飼いしていた場合、借主が予算として考えていた以上の退去費用を請求されてしまうケースがあります。貸主の請求が妥当かどうかという問題はありますが、仮に妥当だとして、原状回復費用なども含め物件の退去費用を分割払いできるかどうかは、貸主や管理会社との相談次第になります。

「退去費用は分割払いできない」といった契約内容もあまり見かけないため、問い合わせて事情を説明し、対応をお願いするほかないでしょう。また、クレジットカードでの支払いに対応してもらえる場合は、カード会社への支払いを分割対応にしてもらうことで解決できる場合もあります。

まとめ

ペット不可物件で飼育がバレてしまった場合について、要点をまとめると次のとおりです。

  • ペット飼育によるペナルティは賃貸借契約の内容で決まるが、即時退去となるか否かは「飼育態様・期間」、「建物の使用状況」等のほか貸主への謝罪や応対次第
  • 違約金支払の要否も賃貸借契約の内容次第だが、住宅設備の破損は借主が賠償しなければならない可能性が高い
  • ペット飼育を理由に高額な退去費用を請求されたら、その金額が妥当なものであるか確認をすることが大切

ペットによる賃貸トラブルは日ごろから多く発生しています。「ペットを飼ってはいけない」と貸主が定める以上、ペットを飼育してしまった借主の非がどうしても大きいです。貸主の定めたルールから逸脱した行為をしていないか確認することと、ルールを破ってしまった際には誠意のある対応を心がけるのが重要です。

監修者:弁護士 大橋賢也 / 川崎エスト法律事務所

中央大学法学部法律学科卒、平成18年10月に弁護士登録。平成25年12月「一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して」川崎エスト法律事務所を開設。債務整理、成年後見、離婚、相続、交通事故、刑事事件などを担う。消費者事件には特に注力しており、現在、「神奈川県弁護士会消費者問題対策委員会」にて副委員長も務める。

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